熊の出没 傾向と対策


スタッフ日誌

熊の出没 傾向と対策 

秋田県内では、熊の出没が頻発しています。先日も、秋田市新屋寿町と同南浜町、そして城南中学校周辺に現れました。
新屋では、10月9日にツキノワグマに男女4人が次々に襲われてケガをしています。新屋地区といえば海沿いの住宅街。近い山は動物園のある大森山ですが、とてもツキノワグマが生息している山とは思えません。その南側の下浜地区周辺から奥深い山につながっているのでしょうか?そうなると、橋か川を渡らなければなりません…
市立城南中学校はJR秋田駅から南東に車で9分ほどの場所にあります。10月13日14日には、同校の敷地内にいるのが2日連続で目撃されています。
その前の4日には、県南の美郷町の作業小屋に立てこもったに親子とみられるクマ3頭が駆除されたばかりでした。

ツキノワグマ。子連れの目撃情報も多数

いつでも・どこでも・誰でも遭遇するリスク
クマに襲われる被害は、秋田県に限ったことではありません。お隣の岩手県でも多数の被害が報告されているほか、東日本一帯で多発していて、過去最多を記録しているようです。
秋田県の「ツキノワグマ情報」サイトによると、2023年10月17日現在、人身被害39件、43名ということで、1979年以降最も多い記録のようです。目撃件数も15日時点で2114件となり、昨年の730件を大幅に上回っています。
県では「今年は特にクマの出没が多く、この傾向は冬眠するまで続くと見込まれます。」と、ツキノワグマ出没警報の発令期間を10月31日まで延長して、事故防止を呼びかけています。

野生動物情報マップ(令和5年度)出典:秋田県「ツキノワグマ情報」 (23.10.17掲載・クリックで拡大)

原因はエサ不足?
クマが市街地に出没する原因はエサ不足にあると、専門家は言っています。
どうも今年はクマのエサとなるブナの実やドングリ類が大不作のようで、山から降りて普段行かないような場所にまで行動範囲を広げているらしいのです。
従来、山と人里には厳然とした境界がありました。これが山間部の集落の高齢化で山の下草を刈る人が少なくなり、動物と人のエリアの境目が曖昧になったからとの意見があります。
また、狩猟を生業とするマタギが少子高齢化で半減したことや、害鳥獣駆除や管理捕獲を担うハンター(狩猟免許所持者)の激減が一因ではないかと言う人もいます。
過疎化による廃村、森林伐採を伴う発電設備の設置など、現代の日本が抱える問題が関わっているとの指摘もあります。

ブナの実はクマの大好物。

クマにとっての秋は、人同様、食欲の秋です。12月ごろから始まる冬眠へ向けてエサを求める習性のため、さらに行動が活発化する時期のようです。
クマの好物のドングリ(堅果類:ブナ、ミズナラ、コナラ、クリ、オニグルミ)などの凶作により、もともと山奥にはない柿やブドウやリンゴを探しに人里へ現れます。一度味を覚えたら執着する習性のため、甘い果実の味を求めて市街地周辺まで遠征するのだそうです。
一昨年訪ねた横手のぶどう園のご主人のお話しでは、シャインマスカットの木のてっぺん付近にあぐらをかいて、収穫直前の美味しいところを平らげているのを目撃したことがあるそうです。

クマから身を守る
クマは基本的に人を避ける動物のようです。しかし突発的な出会いの場合、防御のために攻撃を行うと言われています。
そんなクマから野山や市街地で身を守るにはどうしたらいいのでしょうか?

秋田県が配布している「ツキノワグマ生態解説パンフ」これは小学生向け

まずはクマと出会わないことがいちばんの安全策です。
とはいえ勝手に住宅街に現れたりします。
ですので、
●やぶや見通しの悪い場所には近寄らない。
●残飯、家畜の飼料、農作物などクマの食べ物になるようなものを外に出しておかない。
●野山では単独行動をしない。
そんなことのようです。

あまり市街地向きではありませんが、以下のグッズで身を守るのもよろしいかと…。

●熊鈴
最もポピュラーな対策品です。消音機能付きもあります。
登山、トレッキング、山歩き、きのこ採り、山菜採りでは必須です。
秋田県鹿角市の小中学校では、全生徒に貸与しているようです。

●熊スプレー
唐辛子を主とするクマ撃退成分を配したスプレー。
高圧ガスで長距離噴射を実現した製品もあります。

●ベアホーン
大音量の発報がクマへの警告になります。

●電子ホイッスル
機能はベアホーンと同じです。
ただし120dB相当の大音量を誇ります。
120dBというのは飛行機のエンジン近くの音量です。

●爆竹
地面に置いて点火すると、火薬が詰まった小さな紙筒が
次々に爆発し、激しい音を立てます。
100均、ホームセンター、ドンキなどで入手可能です。

●熊よけ線香
唐辛子粉末を練り込んだ害獣対策専用の線香。
携行も可能です。

●ウルフ尿
クマの天敵のハイイロオオカミの尿100%のリキッド。
来てほしくない所に数メートル間隔で吊るして使います。
強烈に臭いらしいです。

上記の他に、常時ラジオを流しながら歩いたり、時々ホイッスルを吹いたりして人の存在を知らせる方法も、山では定番です。
※私はウルフ尿だけは未体験です。他はすべて購入もしくは野山で実践経験あり。

画像左:音が大きすぎる電子ホイッスル。 画像右:携行しやすい小型熊スプレー。

画像左:2段の熊鈴。1段が一般的。 画像右:白い導火線に点火する。

もしも遭遇したら
遭遇したら死んだフリがいいと巷で言われていますが、これは非常に危険との説もあります。背中を見せて走って逃げるのもNG。ゆっくり後退りしながらクマとの距離をとり、静かにその場を立ち去りましょうとか、情報が錯綜しています。
もしも襲われたら、致命傷を防ぐ防御姿勢なるものが推奨されています。これは、リュックがあれば背負って、首の後ろに手を組んでうつ伏せになり顔や首、腹などを守るというものです。やらないよりは良いとは思いますが、あの爪や牙でやられたらひとたまりもない感じ、ですよね。
そんなこんなで、私は襲われそうになった時に備え、熊スプレーと電子ホイッスルを数年前から準備しております。スプレーは練習できませんが、電子ホイッスルは時々試して周囲の顰蹙を買っております。

野山はクマたちの生活場所です。集落や市街地は人の生活場所です。田舎の住民、都市の住民では考え方に大きな開きがあるとはいえ、私たちはクマをはじめとする野生動物と今後どう付き合っていくべきか、非常に難しい問題に直面しているような気がします。

スタッフ日誌

熊の出没 傾向と対策 

秋田県内では、熊の出没が頻発しています。先日も、秋田市新屋寿町と同南浜町、そして城南中学校周辺に現れました。
新屋では、10月9日にツキノワグマに男女4人が次々に襲われてケガをしています。新屋地区といえば海沿いの住宅街。近い山は動物園のある大森山ですが、とてもツキノワグマが生息している山とは思えません。その南側の下浜地区周辺から奥深い山につながっているのでしょうか?そうなると、橋か川を渡らなければなりません…
市立城南中学校はJR秋田駅から南東に車で9分ほどの場所にあります。10月13日14日には、同校の敷地内にいるのが2日連続で目撃されています。
その前の4日には、県南の美郷町の作業小屋に立てこもったに親子とみられるクマ3頭が駆除されたばかりでした。

ツキノワグマ。子連れの目撃情報も多数

いつでも・どこでも・誰でも遭遇するリスク
クマに襲われる被害は、秋田県に限ったことではありません。お隣の岩手県でも多数の被害が報告されているほか、東日本一帯で多発していて、過去最多を記録しているようです。
秋田県の「ツキノワグマ情報」サイトによると、2023年10月17日現在、人身被害39件、43名ということで、1979年以降最も多い記録のようです。目撃件数も15日時点で2114件となり、昨年の730件を大幅に上回っています。
県では「今年は特にクマの出没が多く、この傾向は冬眠するまで続くと見込まれます。」と、ツキノワグマ出没警報の発令期間を10月31日まで延長して、事故防止を呼びかけています。

野生動物情報マップ(令和5年度)出典:秋田県「ツキノワグマ情報」(23.10.17掲載)

原因はエサ不足?
クマが市街地に出没する原因はエサ不足にあると、専門家は言っています。
どうも今年はクマのエサとなるブナの実やドングリ類が大不作のようで、山から降りて普段行かないような場所にまで行動範囲を広げているらしいのです。
従来、山と人里には厳然とした境界がありました。これが山間部の集落の高齢化で山の下草を刈る人が少なくなり、動物と人のエリアの境目が曖昧になったからとの意見があります。
また、狩猟を生業とするマタギが少子高齢化で半減したことや、害鳥獣駆除や管理捕獲を担うハンター(狩猟免許所持者)の激減が一因ではないかと言う人もいます。
過疎化による廃村、森林伐採を伴う発電設備の設置など、現代の日本が抱える問題が関わっているとの指摘もあります。

ブナの実はクマの大好物。

クマにとっての秋は、人同様、食欲の秋です。12月ごろから始まる冬眠へ向けてエサを求める習性のため、さらに行動が活発化する時期のようです。
クマの好物のドングリ(堅果類:ブナ、ミズナラ、コナラ、クリ、オニグルミ)などの凶作により、もともと山奥にはない柿やブドウやリンゴを探しに人里へ現れます。一度味を覚えたら執着する習性のため、甘い果実の味を求めて市街地周辺まで遠征するのだそうです。
一昨年訪ねた横手のぶどう園のご主人のお話しでは、シャインマスカットの木のてっぺん付近にあぐらをかいて、収穫直前の美味しいところを平らげているのを目撃したことがあるそうです。

クマから身を守る
クマは基本的に人を避ける動物のようです。しかし突発的な出会いの場合、防御のために攻撃を行うと言われています。
そんなクマから野山や市街地で身を守るにはどうしたらいいのでしょうか?

秋田県が配布している「ツキノワグマ生態解説パンフ」これは小学生向け

まずはクマと出会わないことがいちばんの安全策です。
とはいえ勝手に住宅街に現れたりします。
ですので、
●やぶや見通しの悪い場所には近寄らない。
●残飯、家畜の飼料、農作物などクマの食べ物になるようなものを外に出しておかない。
●野山では単独行動をしない。
そんなことのようです。

あまり市街地向きではありませんが、以下のグッズで身を守るのもよろしいかと…。

●熊鈴
最もポピュラーな対策品です。消音機能付きもあります。
登山、トレッキング、山歩き、きのこ採り、山菜採りでは必須です。
秋田県鹿角市の小中学校では、全生徒に貸与しているようです。

●熊スプレー
唐辛子を主とするクマ撃退成分を配したスプレー。
高圧ガスで長距離噴射を実現した製品もあります。

●ベアホーン
大音量の発報がクマへの警告になります。

●電子ホイッスル
機能はベアホーンと同じです。
ただし120dB相当の大音量を誇ります。
120dBというのは飛行機のエンジン近くの音量です。

●爆竹
地面に置いて点火すると、火薬が詰まった小さな紙筒が
次々に爆発し、激しい音を立てます。
100均、ホームセンター、ドンキなどで入手可能です。

●熊よけ線香
唐辛子粉末を練り込んだ害獣対策専用の線香。
携行も可能です。

●ウルフ尿
クマの天敵のハイイロオオカミの尿100%のリキッド。
来てほしくない所に数メートル間隔で吊るして使います。
強烈に臭いらしいです。

上記の他に、常時ラジオを流しながら歩いたり、時々ホイッスルを吹いたりして人の存在を知らせる方法も、山では定番です。
※私はウルフ尿だけは未体験です。他はすべて購入もしくは野山で実践経験あり。

画像左:音が大きすぎる電子ホイッスル。 画像右:携行しやすい小型熊スプレー。

画像左:2段の熊鈴。1段が一般的。 画像右:白い導火線に点火する。

もしも遭遇したら
遭遇したら死んだフリがいいと巷で言われていますが、これは非常に危険との説もあります。背中を見せて走って逃げるのもNG。ゆっくり後退りしながらクマとの距離をとり、静かにその場を立ち去りましょうとか、情報が錯綜しています。
もしも襲われたら、致命傷を防ぐ防御姿勢なるものが推奨されています。これは、リュックがあれば背負って、首の後ろに手を組んでうつ伏せになり顔や首、腹などを守るというものです。やらないよりは良いとは思いますが、あの爪や牙でやられたらひとたまりもない感じ、ですよね。
そんなこんなで、私は襲われそうになった時に備え、熊スプレーと電子ホイッスルを数年前から準備しております。スプレーは練習できませんが、電子ホイッスルは時々試して周囲の顰蹙を買っております。

野山はクマたちの生活場所です。集落や市街地は人の生活場所です。田舎の住民、都市の住民では考え方に大きな開きがあるとはいえ、私たちはクマをはじめとする野生動物と今後どう付き合っていくべきか、非常に難しい問題に直面しているような気がします。

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